古くからミジンコ、ワムシ、ブラインシュリンプなどの動物性プランクトンの飼料として使用されているイースト菌(酵母)。
生イースト(活動しているイースト菌)の保存性を高めるために、大部分の水分を除き、乾燥して休眠状態にした酵母がドライイーストです。
水分(湯)を吸収し糖をエネルギーとして発酵力が回復すると、生イーストと同じ状態になります。
【散布量】
水または30〜40℃の湯に溶いてから散布。
そのまま散布すると沈殿します。
ミジンコ培養の散布量は、個体数や環境によって大きく異なります。
翌日の同時刻に透き通る量が最適で、早く透き通るなら量が少ない、透き通らなければ量が多すぎます。
また、高温・高過密の条件では一度に大量のイーストを投入すると酸欠を招き、ミジンコが全滅する可能性があるので、2〜3回/日に分けて投入してください。
ワムシやブラインシュリンプへは適時、量を調整してください。
理想的には淡水クロレラとドライイーストを併用し、鶏糞の煮汁を加えることで、より安定した培養が可能です。
【発酵】
粉末のドライイーストは休眠状態のため、活動した酵母を給餌する考えと、活動していなくてもイーストそのものを栄養源として摂取させる考えの二通りに、資料や専門家によって意見が分かれます。
どちらでもミジンコは殖えるため、特に重要なことではないのかもしれません。
もし、発酵を開始してから散布するのであれば、風呂の温度に近い、水温30〜40℃の湯100ccに、まんべんなく、ドライイースト10gを水面に散らして軽くかき混ぜます。
この時、一ヶ所に固まらないように注意してください。
水温を維持したまま約20分後で発酵が開始します。
50℃以上の湯ではイーストが死滅するので注意。
【保存方法】
ドライイーストは生きているので長く保管すると徐々に活力が弱くなります。
特に温度の高い場所に置いたり、空気にふれたりすると活力の低下が早まるので要注意。
必要量取り出した後は密封して冷蔵庫に保存し、半年以内に使い切ってください。
冷凍にすると活力低下を招くため厳禁。
【参考書籍】
ドライイーストを用いたミジンコ培養法は、緑書房「養魚講座 金魚 【商品コード9016】 3500円)」に詳しく記されています。
大変、参考になる書籍ですので、ミジンコの培養に興味がある方は是非、ご検討をお願いいたします。
【その他】
ミジンコの生態はまだ、解明されていない点が多くあります。
ドライイーストでもある程度は繁殖させることができますが突然、消えたり、活力が上がらなかったりすることがあります。
高過密飼育での個体数減の原因に、第一は酸欠が挙げられます。
第二に単一の飼料を与えることにより、何らかの バランスが崩れると考えられています。
自然に発生した青水や淡水クロレラなどの植物性プランクトン、PSBなどのバクテリアと併用することをおすすめします。
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